金属同士を接合し、製品を製作する「溶接」には、様々な工法がございます。当サイト内においても「プロジェクション溶接」にフォーカスをあててご紹介しておりますが、今回は「プロジェクション溶接」について、掘り下げて詳細にご紹介させていただきます。

▼▼ 目次 ▼▼

プロジェクション溶接とは
プロジェクション溶接のメリット
プロジェクション溶接に関する製品事例
プロジェクション溶接ならセイエンにお任せ!

 

プロジェクション溶接とは

プロジェクション溶接は、金属部品を溶接するための一種の抵抗溶接プロセスです。この方法では、高電流と圧力を使用して、2つ以上の金属部品を一体化させることが可能です。以下に、プロジェクション溶接の基本的な原理と手順について説明します。

プロジェクション溶接の原理

プロジェクション溶接では、金属部品の接合箇所に予め設計された突起(プロジェクション)を作成します。溶接時には、突起同士が圧力をかけられ、2つの電極によって挟まれます。その際に、突起(プロジェクション)に電流が流れることで、突起同士の接触面が熱され、溶融して接合されることで、金属部品が溶接されます。

プロジェクション溶接で非常に重要となる突起(プロジェクション)について、2種類ご紹介させていただきます。

エンボスプロジェクション

「エンボスプロジェクション」は、平板にプレス加工などで形成されたプロジェクションのことをいいます。プレス加工で形成するため、溶接点を何か所も効率的に作ることが出来るため、同時に多数の溶接をすることが可能です。また、溶接時には突起部を溶かすため、スポット溶接と同じようにナゲット(くぼみとくぼみの間の溶けた金属部)が出来ます。

ソリッドプロジェクション

「ソリッドプロジェクション」は、板の角や丸棒の交差などの初めからある突起を利用して溶接を行う際のプロジェクションのことをいいます。エンボスプロジェクションでは突起部の間が空洞なのに対し、ソリッドプロジェクションでは空洞がありません。また、加圧や給電する部位は溶接点から距離があります。

当社の実施するプロジェクション溶接は、こちらのソリッドプロジェクションの原理を応用しております。

プロジェクション溶接機について

プロジェクション溶接機は、コンデンサ式とインバータ式が主流です。

コンデンサ式プロジェクション溶接機

コンデンサ式は交流式抵抗溶接機で、短時間で溶接でき、非金属にも対応できます。
コンデンサ式は、コンデンサに充電することで、大電流を放電することができます。
そのため入力電源の容量が小さくても、大電流を電極に通電させることができ、難溶材である熱伝導の良いアルミや銅などへ安定した溶接ができるのです。加えて、電源設備の容量も比較的低く抑えられるところも良い点です。

インバータ式プロジェクション溶接機

インバータ式は、電力効率も高く溶接条件範囲が広域に取れるため、品質の高い溶接が可能です。
また、溶接金属の飛散(散り)や飛散した金属がワークにつくスパッタも抑えられるため、きれいな作業環境に改善することができます。
三相入力による電源で、負荷バランスもとりやすくなっています。インバータ式プロジェクション溶接機には、直流と交流があります。

プロジェクション溶接の手順

プロジェクション溶接は、製造する製品や品目によって手順は変わってきますが、今回は一般的なプロジェクション溶接の手順を説明します。

1、部品の準備

接合する金属部品を準備します。金属部品同士を接合するため、部品は表面に油や汚れがないクリーンな状態で準備することが重要です。汚れや異物等があると、溶接精度が安定せず、手戻り等の負荷が発生してしまいます。

溶接装置を立上げを行い、予め決められた設定を入力します。プロジェクション溶接を実施する際に、電極や溶接材料が重要となるため、適切なものが選定されているか、必要な電力と電流が調整されているか、確認を実施します。

2、部品の配置

接合する金属部品を正確に配置します。プロジェクション溶接では、部品の接合点に予め形成された部位が使用されます。そのため、部品の配置がずれてしまうと溶接精度が安定しません。部品の正確な配置を行い、その位置が溶接時に維持されるように、治具等を用いて対応することが重要です。

3、電極の位置調整

プロジェクション溶接装置には、電極が取り付けられています。電極は部品の接合点に接触するため、正確な位置に配置する必要があります。部品の配置も重要となりますが、電極の位置も念のため確認することで、正確なプロジェクション溶接が可能となります。

4、電流の供給

電流が部品に供給されると、電極と部品の接触点で高い電流密度が生じます。これにより、部品の表面が急速に加熱され溶接されます。

5、加圧

部品が加熱されると、電極を通じて加えられた圧力によって、部品同士が密着し、溶融が促進されます。この圧力により、接合点の金属が溶け合い、溶接されます。

6、冷却と固化

電流が供給されている間、溶融プールが形成された接合点は加熱されます。一定の時間が経過した後、電流が停止され、部品が冷却されます。これにより、溶融プールが固化し、金属部品が接合されます。

7、検査と仕上げ

溶接が完了した後、接合部の検査と、必要に応じた仕上げ処理を実施します。プロジェクション溶接は、プロジェクションのみが溶着するため、接合面以外に、スパッタ等の異物の影響がありません。また、熱による変形などの影響もほどんどでないため美しい仕上げりで溶接することが可能です。

プロジェクション溶接のメリット

当サイト内でも、プロジェクション溶接のメリットについて、「パイプ製造」の観点から、ご紹介させて頂いておりますが、今回は一般的なメリットについて掘り下げてご紹介させていただきます。

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1、高い強度

プロジェクション溶接は、抵抗加熱と圧力を組み合わせて金属部品を接合するため、非常に強固な接合が可能です。接合面積が広いため、溶接部分の剛性と強度が向上します。

2、品質の均一化

プロジェクション溶接では、事前に設計された突起(プロジェクション)を部品に形成し、溶接を行います。これにより、部品同士の正確な位置合わせが可能となり、接合品質の均一化が可能となります。品質のコントロールがしやすく、高い精度と一貫性を保つことができます。

3、高効率

プロジェクション溶接は、一度に複数のプロジェクションを接合することができます。これにより、一つの操作で複数の接合を行うことができるため、生産効率が向上します。また、溶接時間も比較的短いため、大量生産に適しています。

4、自動化の容易性

プロジェクション溶接は、自動化やロボット化に適しています。プロジェクション溶接のプロセスは比較的単純で、部品の配置と溶接サイクルを自動化することが容易です。これにより、労働力の節約と一貫した品質の維持が可能となります。

5、コスト削減

プロジェクション溶接では、溶接部位に直接圧力をかけるため、部品同士の密着性が高くなります。これにより、溶接時の材料の飛び散りやずれを最小限に抑えることができます。その結果、溶接材料の無駄が少なくなり、材料コストの削減が期待できます。

プロジェクション溶接に関する製品事例

続いて、実際に当社がプロジェクション溶接を用いて製造したの製品事例をご紹介いたします。

プロジェクション溶接ならセイエンにお任せ!

プロジェクション溶接の豊富な実績を持つ当社であれば、お客様のお困りごとに最適な工法・製造のご提案が可能です。

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